字幕問題のまとめ 「週刊新潮」でこの問題を取り上げられましたが、字幕問題がまた起こったという紹介程度でしかない薄い内容だったため、「オペラ座の怪人」を見ていない人にとってはなぜこれほどファンが字幕に対して騒いだのか今一分かりにくいかと思います。 それ故にファンの一部が無責任にプロを叩いているだけだと誤解してる人がいるようですので、問題点をまとめたいと思います。 なぜファンが今回の字幕に対して怒ったのか? 字幕問題のFAQs 字幕問題の経緯 ★なぜファンが今回の字幕に対して怒ったのか? 字幕によって話そのものが変えられてしまっているからです。 実は明らかな誤訳はそれほど多くはありません。それよりも観客に誤解をあたえる意訳が問題視されています(だからこのサイトでは「誤訳」ではなく「珍訳」という言葉を主に使っています)。 この「オペラ座の怪人」という話は男2人と女1人の三角関係のラブロマンスなんですが、3人の心情表現(特にヒロイン)が非常に微妙で、観客の想像に委ねられている部分が多い作品です。 しかし字幕では、この微妙なニュアンスを難解だと考えてストーリーを簡単にしようとしたのか、わざと原文ではどちらとも取れる曖昧な表現になっているものを翻訳者の解釈に断定してしまったり、心情を語る上で非常に鍵となる歌詞(台詞)を省いてしまったりと、かなり意訳しています。 ところでこのサイトのトップに書いている 「ラウルがヘタレに見える」 「クリスティーヌが軽い女に見える」 「ファントムがヒッキーの変態ストーカーに見える」 「話が唐突」 というのは、映画のみを見た人のブログや掲示板などでの感想です。 映画は一部変更はあるものの、舞台とほぼ同じ内容・英語歌詞です。しかし上記の様な感想は舞台を見た人からは聞いた覚えは今までなく、映画を見た人からしか出ていません。またネット上で字幕と本来の意味の対訳を見た後、やっと話の筋が分かったという感想や、登場人物に対する感想が変わったという意見が、掲示板やブログなどでかなり見かけました。 つまり意訳され過ぎているため、本来同じ内容のものを見ているはずの舞台ファンと映画ファンの間で感想が違ってくるほど、字幕によって映画の内容が歪められているのです。 もし自分の好きな作品や人物が字幕の為に誤解され、悪く思われているとしたら、あなたはその字幕を付けた翻訳家や配給会社に対してどう思いますか? なおこれだけ字幕改善運動が大きく発展したのは、この映画の元になっているのが、世界でも日本でも10年以上の人気を誇るミュージカルであり、舞台を見たことがある人の数も、CDで英語歌詞に馴染んでいる人の数も多かったため、字幕がおかしい事に気づいた人が普通の映画に比べて多かったというのもあります。 ★字幕問題のFAQs Q.字幕には字数制限があり、また一瞬で意味を伝えなければいけないから、意訳は仕方がないのでは? A.字数内で収まるものでも意訳しています→珍訳箇所リスト&解説参照。また意訳しすぎた字幕のせいで、かえって話が繋がらず、観客の理解に混乱が生じています。 Q.直訳では面白くない。字幕は創作活動、合わないのは感性の問題。 A.字幕とは外国語が分からない観客のために、その映画の内容を日本語に直して伝えることがまず第一だと思います。その上で美しい日本語に作り変えるのならいいのですが、創作と称して話を変えてしまったものをお金を取って見せるというのは、観客に対する裏切りではないでしょうか? なお今回の字幕は日本語そのものがおかしいものもかなりあります。 また感性とは個人個人によって変わってくるのは当然です。だからこそ万人に受け入れられる字幕にするのが、プロの仕事ではないでしょうか? なお今回の「オペラ座」は翻訳家の感性に合わなかった人の方が遙かに多かったため、余計にこの字幕を拒絶する人が多かったのだと思います。ゴシックホラー調ラブロマンスに、スポーツ紙のエロ小説調の字幕をつけられて、それが感性に合ってるという観客(女性、年輩の夫婦がほとんど)はあまりいないでしょう。 (別作品ですが「ブリジット・ジョーンズの日記2」での「トリビアの泉」という字幕でも、そう訳す翻訳者の感性に寒さを感じました) Q.人間だからミスもある。多少の誤訳には目を瞑るべき A.作品の内容に直接的にかかわらないケアレスミス程度なら、サイトを立ち上げてまで文句は言いません。ほぼ同時期に同じ翻訳者による「ターミナル」も見ていますが、こちらについては自分は文句はありません。 (オペラ座以外でどういう誤訳があったかは、字幕スレテンプレサイトにまとめられています) 今回の「オペラ座の怪人」の字幕での誤訳・改訳は、作品の内容を変えてしまうような重要なものだったので、自分を含め多くのファンが動きました。しかしそれも翻訳者を糾弾しようという意図で動いたのではなく、せめてDVD化の際には誤解が生じないような訳に直して欲しいという思いからです。 なお自分は翻訳者だけでなく、字幕をチェックしていない配給会社や、一人の翻訳者に一週間で一本の映画を翻訳させる映画業界にも問題があると考えています。 (しかし翻訳者の友人の芸人のラジオでのトークを聞くと、誤りを指摘した映画会社社員に対して文句を言っているようなので、翻訳者本人がやはり元凶なのかもしれません) Q.英語ができるのなら字幕を見なければいいのでは? A.英語ができる人が増えてきたとはいえ、字幕に頼らざるを得ない人達の方が多いのが現状です。それ故字幕のせいで、数多くの人達が作品を誤解してしまうのが嫌なんです。 Q.ネットという匿名の場所で抗議するのは無責任で卑怯では? A.問題が持ち上がった最初の頃は、見てきた人の記憶に頼った書き込みだったため、勘違いなど誤りもありましたが、その後有志数人による映画館での字幕文の確認作業によって、『オペラ座の怪人』問題字幕総覧ではほぼ正確な字幕文と原文と本来の意味の対比がなされています(当サイトもこの総覧に準じています)。ネットだからといって根も葉もない事で抗議しているわけではありません。 また映画『オペラ座の怪人』の字幕改善署名は本名で署名しております。 ネット上でどういう抗議が行われているか確認することなく、ファンが無責任に騒いでいると言っている方が、よっぽど無責任ではないでしょうか? ★字幕問題の経緯 2ちゃんねる映画板内の字幕スレで、試写を見に行った人から、passion-play(普通は「受難劇」と訳す)が「情熱のプレイ」になっていたという報告があり、スレが騒然とする参照。 ↓ 本公開直後より、舞台版のファンから「訳がおかしい」という指摘がオペラ座スレや公式BBSなどで多数書き込まれる。 また映画ではじめて「オペラ座の怪人」を見た人と、以前からストーリーを知っていた人との間で感想に大きく食い違いがあり、原因は字幕ではないかという意見が出る。 ↓ よし様の、および当サイト立ち上げ。 直接配給会社にメールを送った人、個人サイト、ブログでも字幕の問題点を取り上げる人も出てくる。 ↓ 「ロード・オブ・ザ・リング The Lord of the Rings」の日本語字幕の改善運動もされたゴン様ので、オペラ座の字幕についても取り上げられ、検証作業が始まる。その後検証作業はハーブ様のに場所を移し、有志数名により映画館での字幕の確認作業が行われる。 ↓ ほぼ全原文・字幕を検証した『オペラ座の怪人』問題字幕総覧完成。 よし様がまとめ役となり、映画『オペラ座の怪人』の字幕改善署名活動開始。2週間で500を越える署名が集まる。 ↓ 『オペラ座の怪人』問題字幕総覧と映画『オペラ座の怪人』の字幕改善署名を配給会社であるGAGAと、DVD発売元のアーティスト・フィルムに送付。 ↓ 両会社より、DVDでは字幕を見直す旨の連絡がよし様に送られる。 (DVDは8月発売予定) ↓ 「週刊新潮」で『また「誤訳騒ぎ」だよ「字幕の女王」戸田奈津子』という記事が掲載される。 公式サイトのSPECIALでAll I Ask of Youのラウル役がスティーブ・バートンに なっている件 SPECIALの舞台版の"Think Of Me"と"All I Ask of You(曲名まで間違っている)"の映像は、1985年7月にALWの故郷Sydmontonで試験的に上演されたもので、キャストはファントムがColm Wilkinson、クリスティーヌがSarah Brightman、ラウルがClive Carter。 この試演のあと作詞家のCharles Hartが参加し、歌詞等が大幅に変更されて、1986年10月にロンドン・ウエストエンドにて世界初演を迎えます。その時のキャスト(いわゆるロンドン・オリジナルキャスト)は、ファントムがMichael Crawford、クリスティーヌがSarah Brightman、ラウルがSteve Barton(故人)。 |