作者のインプレッション

平成10年7月17日(土)に初めて「新世紀」に試乗してきました。試乗が遅くなった理由は「じっくり時間をかけて乗りたかった」からです。発表から1ヶ月近く経っているのもあって、思った通り空いてました。ちょっと渋滞していたのもあったのですがGT−Bとランカスター合わせて1時間弱試乗させてもらいました。自分のBG(1つ前のレガシィ)を40km走ってからBH(新世紀)試乗だったので、その差はイヤと言うほどわかりました。それでは私のヘタクソ試乗インプレッションをどうぞ。

GT−B(AT)

写真のボディ色はマスタード・マイカ
試乗車はアークティックシルバー・メタリックであった。BGのシルバーと比べるとほんの少し暗めのようだ。
待ち構えていた営業マンに名紙を渡し試乗を申し込むとすぐに乗せてくれた。早速乗り込んでみたところ、まずドアが重いと感じた。BGはサイドドアビームが1本だったが、BHは2本とショルダー部に鉄板が追加され、これが重さの元になっている。BGでもドアの閉まり音は良いが、BHでは「ドッ」とさらに低い音で閉まる。この音と重さで横からの衝突に対しての安心を感じることができる。
エンジンをかけてすぐに気付くのが、エンジンの静かさだ。BGに比べると何の音もしないと言って良い程である。わずかなアイドリングの振動がエンジンがかかっていることを教えてくれるが、この振動がなかったらもう一度セルスターターを回すところだ。ボンネット裏にはフカフカの防音材が張ってあり、この効果も大きいのだろう。実はあまり良く知られていないが、オイルパンを覆うフロアパネルにも防音材を奢っている。つまりエンジン自体を防音材で上と下からサンドイッチしている訳だ。

次にステアリングの軽さに驚いた。BGはやや重めなので、BHに乗り換えると不安なくらい軽い。これなら非力な女性でも風車のごとく切り返せるだろう。しかし、動き出せば路面との接地感はきちんとあり、走行時の不安は全くない。今回の「車速感応タイプ」のパワステポンプは油圧反力タイプからバルブ感度可変式にし、旧BGのギクシャク感を無くしたそうである。
モモのエアバック付きステアリングは上の方へ5mmオフセットされ、メーターの視野性を向上させている。その握り心地は、ディンプル付き皮で手にしっとりなじみ、太くて安心感がある。ただステアリングが軽い分、もう一回り小径でもいいと感じた。

走り出そうとしてATのシフトゲートに戸惑った。ほとんどゲート式を運転したことがない私は、ゲートをじっくり見ながら操作しなければならなかった。まあ、これは慣れの問題だろう。ただATでも故意にシフトダウンしてエンジンブレーキを多様する私としては、N−D−3屈折して3−2−1より、D−3−2をストレートにして欲しかった。(1のエンブレはショックが強すぎるので使用しない) もしくは今流行りの+−ゲートがあると良いと思った。

走り出してGT−Bの乗り心地の良さに驚いた。タイヤは215/45R17インチ、ブリジストンPOTENZA RE010を奢っているが、とても45タイヤの乗り心地とは思えない。特に極低速での路面からのショックを見事に吸収している。ビルシュタインのショックはフリクション(抵抗)が少なく、極低速の減衰力が実にスムーズなのである。ちなみにフロントは従来の倒立タイプだが、リヤはマルチリンクになって横剛性はサスペンションアームに任せたので正立タイプとなっている。さらに驚くのは後で乗り比べた60タイヤを履くランカスターより乗り心地がいいのである。「家族も乗せるし、45タイヤだと乗り心地が悪そうなのでGT-Bはちょっと・・」と躊躇されている方にも自信を持ってオススメできる。

走りのパワー吹け上がりは実にスムーズ。BHではターボユニットに「斜流タービン」を採用し、今までは直角方向に流れていた排気ガスを斜めに流すことによって過給効率を高めている。さらにターボユニットを小型化することにより、アクセルに対するレスポンスも向上させている。その効果の一部としてBGで物足りなかった低トルクが改善されていている。ターボ車と知らない人が運転したなら3リッタークラスのNA車と思うだろう。しかし、その誤解はすぐに解ける。回転が上がれば上がるほど、パワーがどんどん増してくるだ。渋滞時だったこともあってフル加速には持ち込めなかったが、そのパワーは充分で余りあるもの。例えば5人乗車のスキーでキャリアも付けて荷物フル満載でも、高速道路の上り坂をストレスなく駆け上がってくれるだろう。BG特有だったツインターボ切り換え時のトルクの谷間は随分改善された。皆無とは言えないがほとんど気にならないレベルである。

ハンドリングはシャープそのもの。左右に振ってみたがシュッシュッといった感じで切り返しができ、応答遅れなどまるで無いと言える程である。また切り返しあとのオツリ(揺り返し)もない。これもビルシュタインダンパーによる大きな効果と言える。GT-B(& VDT)はフロントロアアームにWRXでも使用しているアルミ鍛造製を奢っており、乗り心地やハンドリングの良さにより一層の磨きがかけられているようだ。

試乗車+渋滞時ということで高速コーナーリングは体験できなかったが、空いた交差点があった時、ここぞとばかり同乗の営業マンに「一発攻めますよ」と了解を得て、BG乗りの自分としてはやや速めの速度で一気に左90度コーナーリング! 「!!!、???」GT-Bは何もなかったかのように90度向きを変えてコーナーリングを終了してしまった。タイヤのスキール音も皆無でだ。BGとはコーナーリング能力の次元が違うのである。恐るべし新世紀GT-B!

他に良くなった点は、リヤのマルチリンク化によって広くなったラゲッジルーム、リヤシートのリクライニング、シヤシート3人乗車時のセンター3点式シートベルトなどなどキリがない程。BGの欠点であった部分は、BHで全て改善されていてると言っていい。
このように静かで、パワーがあって、ハンドリングが良く、乗り心地も良く、使い勝手も向上した。こんなに沢山の資質を同時に併せ持ったクルマが他に存在するだろうか? しかも330万円前後でだ。BHは広告のうたい文句の通り「世界に誇れるグランドツーリングワゴン」であることが間違いないことを確信した。

LANCASTER(AT)
試乗車はソリッドグレー/ストームグレー・オパールの2トーン(右写真)だった。BGのグランドワゴンやランカスターと見比べるとソフトな感じがして、SUVというより普通の乗用車としての身近な存在感がある。
乗り込もうとしてシートの高さで車高が高いのを実感した。このシートの高さは腰の位置に近く、GT−Bより乗り込みやすい。車高はGT−Bの1485mmに対し1550mmと65mmも高く視界は良好。なぜかちょっと優越感を感じた。
内装はグレー/ベージュの奇麗な2トーンで、外装イメージからつながるソフト感がある。GTでも内装の質感は大幅に向上されているが、こちらの方がより高級感がある。
ステアリングは上下一部ウッドを使用している。ウッドの部分は手が滑るかと思ったが、逆に手がベッタリ張付いた。しかし、濡れた手では操作しない方がいいだろう。

ランカスターもGT−Bと同様に室内は非常に静か。スルスルと走り始めると出足のトルク感はGT−Bとほとんど変わり無いことに気付いた。2.5リッターのエンジンは低中トルクの向上を追求し、バルブタイミングを最適制御するAVCS(可変バルブタイミング)を搭載している。その他の改善もあって、このエンジンは2800回転で最大トルクの24.0kg-mを発生している。この低回転トルクの改善によって、3000回転までのトルク感ならGT−Bに負けないと感じた。さすがに3500を超えてからの加速感はGT−Bに及ばないものの、「あまりエンジンを回さない」「280PSもいらない」という方にはこれで充分である。燃費も10・15モード燃費で11.4km/lでGT−Bの10.6を0.8上回る。ランニングコストも考慮される方にはこちらをオススメする。

パワーフィールもGT−Bに増してスムーズ。ATとの上手いセッティングもあって、変なショックも無くスイスイ加速していく。また走行音も良く押さえられていて、正に高級車のソレである。これにマッキントッシュのカーステレオを付ければ、文句無しの上質な移動空間を満喫できるだろう。

乗り心地も良好。ショックはカヤバ製と聞いたが、充分に完成度は高い。前記で乗り心地はGT−Bの方がいいと述べたが、その差はほんの僅かであり、GT−Bにしばらく乗った直後にランカスターに乗らなければ分からないレベルである。
まとめてみると、ランカスターはSUVとしてだけでなく、普段の乗用車として扱っても充分な資質を持っている。高級感、扱い易さ、ランニングコストを考慮すると、ランカスターは賢い選択肢と言えるだろう。

マッキントッシュ・サウンドシステム
マッキントッシュ・サウンドシステムは素晴らしいの一言であった。透き通った高音、伸びやかな中音、そしてバスドラもシッカリ出し切る低音、完璧である。メーカー装着オプションで20万円高となっているが絶対にお買い得である。私が20万円で外付けのシステムをセットアップしても、あれだけの音を出せる自身はない。しかも防振対策も万全で、かなり大きな音を出してみたがボディのビビリ音は皆無であった。見た目のイメージからクラシック系は得意でも、ユーロビート系は苦手だろうと思い自前のCDを持ち込んで試してみた。しかしその意地悪テストは見事に失敗した。6×9インチウーハーの効果は絶大で、充分に鳴らし切っている。ボリューム目いっぱい近く音を大きくすると、さすがに苦しそうな感じもしたが、それは普通の走行時では聞かないような音量での話である。ひとつだけ惜しまれるのはMDチェンジャーが用意されていないことだ。世間ではカセットからMDへの移行が確実に進行している。これは是非早急に用意した方がいいと思われる。(PCを持っている人ならCD−Rに焼くという手もあるが・・)

旧世紀GT−Bspec(作者の独り言 番外編)
(新世紀に乗った後の帰りの車で)あー、うるせえ。なんでこんなにあっちこっちから色々な音がするんだ? ボディも柔かいなあ。吹け上がりもガサツだし。でもこれを「味」と言い換えてゴマカスか・・。足回りもコツコツショックを拾うし・・。早く足回り換えようっと!<新世紀買わんのかい!



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