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21-Mar-99

98年クリマル記録

--- アドヴェント第4週 ---


クリスマス前最後の日曜日、クリマルの人出も最高潮
--- 20-Dec-98 ドレスデン(Dresden)にて ---


これを書いているのは3月21日。復活祭を2週間後に控え、街の商店の飾りはもとより、住宅街の庭先や住宅の窓なんかも、もう復活祭の卵とウサギの飾りで一杯だ。今更「クリマル」でもなかろうという気はしないでもないが....でも昨年のクリマル巡り、第3週の前半まで書いたところで途切れている。このところ更新ネタにもちょっと困っているが、去年のクリスマス最終週末はちょっと遠出をした。ここはひとつ、その時のことを書こう。





実は今年のクリシーズンの最初の頃、「今年は赤ん坊もいるので、去年までみたいな強行軍クリマル巡りはもうやめよう」なんて言っていた。が、前週のアルザス一泊旅行で、赤子連れでもなんとかなるということがわかった。そうなると、またまた欲が出てきてしまった。ずっと前からチェコのクリマルのことが気になっていながら、また行ったことが無い。それに我が家の駐在期間ももう結構長い。来年のクリスマスは日本に戻っていたとしても何の不思議もない。そうだ、プラハへ行こう!

プラハは土日だけの1泊2日で行けない所ではないが....そう言えばドレスデンのクリマルも行ったことが無いし....どうせなら、この際有給休暇を1日取っちまえ!....どうせ毎年、半分も使えずに捨ててばかりいることだし....ということで、2泊3日でドレスデンとプラハをメインの目的地として出かけることにした。

去年までなら、ホテルも行き当たりばったりで行くことが多かったが、今年は万一にでも宿に困ったりしたら大変だ。これまでさんざん貧乏旅行ばかりしていたから、たまには少し奮発してもばちもあたらないだろうということで、「ベビーベッドを入れてもらう」という条件を付けた上で、旅行代理店を通してホテルも確保した。結果的にはどちらの街も、旧市街に近いところにあるデラックスなホテルを、なかなかリーズナブルな値段で取ってくれた。商用客はもうクリスマス直前で激減しているし、かといってこのシーズンに観光客がいっぱい押しかけるような場所でもないから、大幅ディスカウントが当たり前になっているのだろう。


12月19日(土)

フランクフルトからドレスデンまで、一気に走ったとしても5〜6時間はかかる。クリマルの開いている昼間にずっと車で走ってばかりでは勿体無い、ということで途中寄り道して行くことにした。

....ということで、最初の寄り道はバンベルク(Bamberg)。キレイな街並みと、後期ロマネスク様式の大ドームで有名なこの町へは何度か来たが、クリマル時期にはまだ来たことが無かった。


まずはバンベルクへ来たことの証拠的記念写真。小さなクレーンは、この町が河川交通の要所だったころの名残である。


次いで、市庁舎前広場のクリマル。こういう言い方も変だが、「オーソドックスなクリマル」と言えよう。特に珍しいものもないが、安心してクリマル気分に浸ることのできるタイプだ。





結局バンベルクには結構長居をしてしまったが、もう一つくらいは寄り道したい。時間もちょっと押しているので、田舎の小さな町のクリマルは閉まっているだろう....ということで、途中のツヴィッカウ(Zwickau)という中都市で高速道路を降りて、町の中心へ向かう。

....が、最後に旧市街へ入ろうというところで、一方通行やら、一般車通行止めやらでうろうろして時間を食ってしまう。結局駐車場に入ったのが7時半頃。すぐ裏のマルクト広場へ急いだが....クリマルはすでに閉店。一部の屋台では、まだ中でごそごそ後片付けをやっていた。ポスターを見ると、「19時まで」と。まあ、所詮田舎町なので仕方なし。「朝、もう2時間早起きしていれば....」と後悔するのも毎度のことであるが、ついぞ実現したためしがない。


広場の真ん中のクリの木の足元には、丸太で作った人形や動物が。山に近いこの界隈、林業の類が盛んだということか。





さて、ここからドレスデンまで、まだ2時間ほどはかかる。そもそも、赤子連れでは入れるメシ屋も限られる上、遅い時間となってはますます面倒だ。どうせ今回、「美味いものを食べよう」とは期待していない。....ということで、途中の高速道路のパーキングエリアにて夕食。かつては、こういうところで食事するのは一番忌み嫌っていたのだが、赤子連れとなると、これが一番気を使わない上、オムツ換えの場所なんかもほぼ完備されていて、何とも実用的である。立場が変れば、考えも変るものだ。

そうこうして、ホテルに着いたのは夜10時すぎ。もちろん翌朝にクリマル見物の予定ではあるが、イルミネーションの点灯した景色を見られるのは今晩だけなので、息子には申し訳ないなあと思いながらも、手短にクリマル会場散歩へ。幸い、一等地のホテルからはすぐ目の前だ。


これは感激。大した規模だ!! これまでずいぶんクリマル巡りをしてきたが、ここドレスデンのクリマルは、トップクラスの規模と言えよう。


クリマル広場の真ん中にピラミッドなんか、間違いなくこれまでに見た中で最大だ。(脇の屋台の屋根の高さと比べてみられたし。)そうそう、木で出来たクリスマスグッズの一大生産地である「エルツ地方」はこの近くである。ここのクリマル、クリグッズの類にひときわ力が入っているのも、むしろ当然と言えば当然だ。


12月20日(日)

明けて翌朝のクリマル風景。クリスマス直前、すなわちクリマル開設期間中最後の日曜日とあって、一際すごい人出の様子は冒頭の写真でご覧いただいた通り。

して、そのクリマルの中身はというと....あるわ、あるわ。全く予想通りというか、「木で出来たクリグッズの店」の数は抜きん出て多い。そしてどの店も、「エルツ地方の木のおもちゃ」との看板を掲げている。


というわけで、親たちは大はしゃぎであるが、息子の方はかなり退屈している。


家にいれば居間の床でごろごろ動き回ることもできるが、ベビーカーで、しかも「蓑虫状態」とあっては全くどうしようもない。まあ、ちょっと可哀想だとは思うが....もうちょっとだけガマンしてね!!





かくして、ドレスデンのクリマルは「来たかいがあった」と大満足であった。ぼちぼち本日の宿のあるプラハへ向かおう。隣国とは言え、正味2〜3時間もあれば十分に着くはずの距離だ。どうせなら、クリマル(あるかどうか知らないが、おそらくあるだろうと見なしている。詳細は96年クリマル紀行の「ブラチスラヴァ」の項参照)の電気が消えないうちに着きたいものだ。

ということで、下は国境風景。


「Duty Free」という文字がお分かりだろうか。いわゆる「旧・西側諸国」間の国境では、検問所は一つだけあって、両国の国境警備・税関係官が共同してチェックに当たっていて、通過客は一度だけ止まればよい。それに対して旧・東側諸国との国境は、たいていの場合、2重になっている。まずは出国側の検問があり、数百m先に入国検問がある。その間はというと、言ってみれば空港の国際線ターミナルの内部と同じということか、「免税店」が立ち並ぶ。


この写真は、すでにチェコ入国検問の後であるが、しばらくの間ずっと、こう言う感じで日用雑貨の店が並ぶ。見ての通り、張り紙もみなドイツ語なら、価格もまたDM(ドイツマルク)表示である。要は、為替レートや税金の関係で、この手の何でもない日用雑貨の物価に差があるため、国境近くに住むドイツの人達は、こうしてチェコ側まで買い物に来るわけだ。ドイツ〜ポーランド国境でも全く同じことが起こっているという話は聞いているが、あちらは日本人の場合結構面倒な手続きでビザを取って行かないと入国できないとのことで、我が家はまだポーランドには行ったことがない。

余談であるが、チェコと日本との間の相互査証免除協定が発効してビザ無しで行けるようになったのは、ほんの去年のことである。その前の2〜3年の間は、特に難しいことはなかったが、写真2枚持参して、国境でいちいちビザを取らねばならなかった。更にその前はというと、国境ではビザは取れず、事前に平日にボンの大使館までビザを取りに行かねばならなかった。





国境からしばらくは細い一般道であったが、やがて新しい立派な高速道路となり、夕方さほど遅くない時間にプラハに着く。戦災を受けていない大都会であるプラハの街中は、細い路地が入り組んでいて、少なからぬ部分がホコ天だったり、一通さったりする。歩いて散策するには良い雰囲気だが、ヨソ者が車でうろうろするのはちょっと大変だ。地図上の現在地と、更に目指すホテルの位置がわかっていながらも、そこまで車で辿り着くのは一苦労であった。それでも、辿り着くべきホテルが決まっているというのは、なんとラクなことか。ちょっと前まで「行き当たりばったり専門」だったことを、今更ながらちょっと後悔した。


本日の最後は、プラハ旧市街中心の広場から見上げる、ティン教会。今回の旅行の最重要目的であった「プラハのクリマル」は、予想通りここにあった。その話はまた追って。



--- 続く ---

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