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10-Jan-99

98年クリマル記録

--- アドヴェント第3週 ---




これは傑作、「人間クリッペ」
--- 13-Dec-98 リクェヴィール(Riquewihr)にて ---


12月12日(土)

子供が出来てからというもの、それまでのような行き当たりばったりの週末一泊旅行はとんとご無沙汰していたが、久々に泊りがけで出かけることにした。行き先は隣国フランスのアルザス地方、コルマール(Colmar)とその周辺である。

アルザスの中心都市といえばストラスブール(Strassbourg)であるが、ブドウ地帯からは少し離れている。それに対してこのコルマールはブドウ地帯のど真ん中にあり、かつまた中世風木組みの家並みがキレイに残っていたりして、都市の規模としてはずっと小振りながら、この界隈の観光拠点としてはメジャーな街である。

ドイツ語が当たり前のように通じるここアルザス地方では、ドイツ語文化圏のシンボルとでもいうべき(ちょっと大袈裟だね)クリマルもあることはすでに確認済みであり、かつまたこのコルマール界隈も他の時期には何度も訪れているのだが、実はクリマル時期に来たことだけは無かった。

....ということで、最初に車を降りたのは、Eguisheimという、コルマールの近くの小さな街。読み方は「エギュイスハイム」でいいのだろうか。中世風の円形城壁と、その中の同心円状の路地なんかが面白い観光町である。実はこの街、97年のブドウ収穫時期に、Federweisserならぬvin nouveauと、Zwiebelkuchenならぬtarte a l'onion(要は「濁り新酒」と「タマネギケーキ」なのだが、ここでは一応フランス語標記される)を求めてやってきたことがある。(よろしかったら、「ブドウ日記」(97年10月)をご覧あれ。)

駐車場から街の中心へ向かう途中、通りかかった教会の前の青空舞台で、なんだか素人芝居をやっている。

きっとクリスマスに関係のある題材の芝居なんだろうが、いかんせんフランス語でやっているので、しばらく見ていたが、ちんぷんかんぷん。(エラそうなことを書いたが、ドイツ語であってもたいして聞き取れるわけではない。)

お次は、この街のクリマル風景。

しっかりした木の小屋で出店をだしているところなんかは、全くの「ドイツ語圏のクリマル」そのもの。とはいっても、店で売っているものなんかは微妙に違う。下の写真は、ケーキ屋さんの屋台。

真ん中辺に5つ並んだ丸いのが、「tarte a l'onion」即ちタマネギケーキなり。と言っても、ドイツのそれよりはむしろ、いかにもフランス風の食べ物「ロレーヌ風キッシュ」に雰囲気は近い。グリューヴァインならぬ「vin chaud」(要はホットワイン)を一杯やって、このタマネギケーキで空腹を紛らわした。

一つ手前の写真でちょっと人通りが淋しいのは、ちょうどこの時間、もう一つ別のところでも素人芝居をやっていて、みんなそちらへ行っていたため。そしこちらが、その「もう一つの素人芝居」がハネて、三々五々家族の元へ帰って行く小さな役者さんたち。

....と、ここまでですでに真っ暗で夜の雰囲気ではあるが、実はまだ6時かそこらである。本日のメイン目的地であるコルマールのクリマルが閉まる前に行かねばならないので、先を急ぐ。

先程の街からコルマールまで、車でほんの10分ほどである。早いところでは7時くらいに閉まってしまうクリマルもあるので、ホテルのチェックインは後回しにして、まずはクリマル会場へ。

こちらのクリマルも、屋台の作りなんかは、だいたい「ドイツ語圏クリマルの標準形」である。置いている物も、食べ物なんかはちょっと違うが、「クリグッズ」なんかはほとんど共通である.......

....と言っても間違いではないのだが、なんとなく微妙に雰囲気が違う。

この手の「木で出来たクリグッズ」、ドイツのそれはもっぱら「エルツ地方」(旧東独南部、チェコ国境に近い山間部)で作られ、ドイツ中へ流通している。人形の顔つきはもとより、ピラミッドの中でくるくる回るヒツジの雰囲気なんかにも、なんとなく「エルツ風」とでもいう感じの「何か」があるのだが、ここアルザスのクリマルでみるクリグッズのそれは、なんとなく雰囲気が違うのだ。何処で作られたものなのだろうか....

本日分の最後に、

クリマル広場前の、代表的な木組の家。建物自体は、ドイツでも普通に見掛ける木組の家との違いはない(と思う)が、こんな感じの赤いリボンのような飾り付けなんかは、ここではごく一般的なようだが、ドイツではまず見かけない。これはきっと、「フランス式」なんだろう。


そうこうするうちにクリマルも閉まり始め、ホテルにチェックイン。実は泊りがけ旅行で一番やっかいかなと思っていたのは、ホテルそのものよりむしろ我々の食事。子供にわりと寛容といわれるドイツに比べ、フランスのレストランなんかは小さな子供は「ご法度」であるように聞く。

今回もどうしたものかちょっと迷ったが....そう言えば、高速出口の脇にはギラギラとカンバンの輝く「ファミレス」風の大衆ステーキ屋があったよな、と思い出す。ということで行ってみれば、果たしてそこは「子供天国」であった。来ている客はほとんどが騒ぎ盛りの子供連れ。これなら、ウチのともくんが少々泣き叫んでも全く気を使う必要がない。でも言いかえれば、ここへ来ている人達って、やはり普通のレストランから「締め出された」人達なんだろうな。

--- 続く ---

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