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長銀の前頭取の退職金が9億円だったというので問題になっている。
公的資金投入という事態にならなければあまり騒がれなかったのだろうが。

元来は、株主総会で認められれた役員の退職金がいくらだろうと、株主以外の者がとやかく言う筋合いではない。たとえ100億円だろうと。
長銀商品のユーザー、つまりはワリチョーの購入者等にしても、退職金の額そのものはどうでもいい。退職金のせいで商品の価値が下がった(利子が安い)と判断すれば、商品を買わなければいいだけのことだ。

それが公的資金投入となると、なぜ問題になるのか。

在任中に原因があるが顕在化したのは退任後である経営上の問題について、通常、経営者はどこまで責任を負うだろうか。
例えば、半導体工場に莫大な設備投資を行い、在任中は利益をあげたが退任後損失が出てしまった社長とか。

退任時点で利益があがっていれば退職金は払われるだろうし、その後会社が損しても、溯って責任は問わないというのが一般的ではないか。
そんなに先まで見通した判断を求めるのは無理であり、後任経営者にも損失を小さくできなかった責任はある、と普通は考えるだろう。
毎年の株主総会でチェックできたのだから、株主にだって責任はあるわけだし。

前頭取は、公的資金など投入してくれなければ、自分の退職金が問題になったりはしないのに、と一応は言いうるのではないか。

会社に損失を与えることを承知の上でやったとか、常識的に見て著しく不適切な経営判断をしたとか、重大な過失があったというなら、背任罪に問えばいい、ということになる。
そうでない場合、責任を問う合理的根拠を示すのは、案外難しいのではないか。

再び、それが公的資金投入となると、なぜ問題になるのか。どうもよく分からない。

遡って責任を問おうとするなら、問えるような仕組みをビルトインするしかない。
例えば、退職金を、退任後数年たたないと売却できない株券で払うとか。ストックオプションの退職金版。

同じことをわれわれ普通のサラリーマンに適用されると参りますが。