MPV 97/10/29


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ダムタイプ, "OR" (97.10.9,スパイラルホール)

 

電子サウンドとストロボと映像によるコンサート。

 

ものすごい大ボリュームの重低音。1時間に受けた音エネルギーとしては、これまでの人生で最大だったと思う。

 

殆ど感覚を揺さぶられるままだったが、時々次のような思いが浮かんだ。

リズムは、単純であっても人を動かす、なぜなのか。

これ以上では不快になる、ぎりぎりのものというのは、快になるらしい。

ぼやけたものは情報圧縮とはまた違う、元の情報が再現できないから。速回しはどうか。

 

第3章にはいった時、初めてサウンドが人の声を含んだものになる。自分の神経が少し緩んだのが分かった。

このあたりで、コンサートの流れについてぼくなりの解釈が形をとり始める。

パート1:原初的な存在の誕生。単純な形態。圧倒的なエネルギーは無との対比か。

リズムは既にこの時から発生している。

パート2:山。複雑さの原型。

パート3:人、生命、社会。われわれの今。様々なものが絡み合う豊かさ。一方で、混乱の萌芽。

と思っているうちに、最終パートへ。

パート4:関係が見えなくなる。全てがぼやけてくる。混沌。

 

情報論としてのコンサートとも見ることができる。

ボリュームの大きさは情報にとってどのような意味があるのか。

情報の流れる速さは情報にとってどのような意味があるのか。

いずれも、情報を解釈する者との関係で決まる。

 

ホールの空気が澄んでいたことも印象的。

光と音をクリアに伝えようとする制作者の意志と見た。

 

 

<<< digital network >>>

おすすめの店を2つ。

 

・Cave de Vin 小仲酒店

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/konaka20/

30年ワインを扱っている父と、国際派の娘(HP制作者でもある)の店。地方の小店でも、しっかりした専門性があれば、インターネットで全国展開できるという好例。(MPV読者のHさんに教えて頂きました。Merci!)

 

・紀伊國屋書店インターネット仮想書店 BookWeb

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/

本屋が少し遠くなってしまったぼくには実にありがたい店。検索用のデータベースが素晴らしく、注文も簡単。興味のある本をとりあえず自分のバスケットに入れておき、別の日にまた追加し、考え直して1冊除き、といった具合に接続が何回になっても構わないのが便利。送料は注文1回につき480円(何冊でも)。従って、ついたくさん買いすぎてしまうのが唯一の難点。

 

 

<<< 日常雑感 >>>

紅葉について。

 

職場の旅行で会津方面へ。

これまで紅葉にそれほど愛着がなかった。このシーズンの観光地がなぜそんなに混むのか不思議でさえあった。新緑、深緑の方がいいのではと思っていた。

今回、少し良さが分かった。

 

大内宿という最近人気の観光地がある。昔ながらの建物が道の両側に並ぶ小さな集落。どの家も農産物や民芸品を売ったり、そばを食べさせたり。悪くはないが、どの家も、という所が面白くないような気もする。

 

目を家並の外に転じると、どちら側にも、少し歩けば行けそうな所に小さな山がある。

それが赤と黄色に彩られている。

山を見ながら、1本1本の木が見えるような気がする。一面緑ではこうはいかないだろう。

色と形の同時体験。部分に目を凝らせば葉まで見えそうだがそこまでは見えず、しかし葉の集合ゆえの複雑な形としてそれぞれの木々が見える。そして山全体は、木々の集合としての形と色の複雑さが、一つの統一体としての落ちつきを備えて、見える。

風も見える。

 

平面的なパッチワークではない。立体、それも複雑さの重層構造を持った要素によって構成される立体。紅葉は山をそのようなものとして浮かび上がらせる。

 

緑であっても、朝夕は、影によって部分が浮かび上がるため、同種の美しさがあるように思う。

いずれにしても距離が重要。

 

 

<<< miscellaneous >>>

1) 雑誌の記事から

 

・高松伸「都市の奸計」(『太陽』1997.10、特集ヴェネツィア)

 ・・・・幾千万本の木杭の上に浮かぶ石の耽溺。ラグーナの愛撫に濡れそぼつ時の糜爛。永遠の欲情に死に続ける都、ヴェネツィア。

 (この部分だけ抜き出すと結構恥ずかしいですが、雑誌をめくっている時には、うんうん、と頷きました)

 

・渡辺淳一「風のように」第413回(『週刊現代』97.10.11)

 この騒ぎ方を見ていると、新聞が常日頃いっていた、罪を犯したことがある人の人権はどうなるのかと、疑いたくなってくる。 

 ・・・・

 今回の一連の騒ぎを見ると、まず佐藤孝行という、ややうさんくさい人間を選びだし、祭壇に捧げる生け贄のようにして、血祭りにあげる。この男をやっつけるかぎりは、誰も文句をいわないし、みな納得する。その安心感の下に、野党から与党、さらには新聞まで示し合わせて一斉に攻撃をくわえる。

 (佐藤孝行関連は随分たくさん書かれましたが、ぼくの見た範囲では、殆どバッシング。これは貴重な少数意見でしょう。例の「失楽園」は、会社員が電車の中でも読める体のいいポルノじゃないかと思っている(結局毎日読んじゃいましたが)私でして、渡辺氏を特段買ってるわけではないのですが、このエッセイはズバリで結構。)

 

2) どうでもいい話

・先日、家の近所で見た車のナンバーは「土浦33 に 22-22」だった。

 

3) 聞いた話

・同僚が町の医院に行った時聞いた、おばあさん達の会話。

  おばあさんA「あら、今日はCさん見えないわね。」

  おばあさんB「そうね、どこか具合でも悪いのかしら」

 

4) 内緒話(絶対ですよ)

・某町の町民運動会では閉会式に万歳三唱をする。音頭をとった町議会議長の某さん、「某町のますますの発展と、ご参会の皆様のご健康、ご多幸をお祈り申し上げ、乾p、、いや、バンザーーイ」

 (あちこちで思わず失笑。いつも飲んでるからだとの声も。その通り。)

 


< 発行人ノート >

・久しぶりに平日に休暇をとり、これを書いています。いいものですね。

・ニューヨークの株式は一転反発したようで、まずはよかった。今世界大恐慌になっては色々困ります。それにしても、やはり米国経済の方が基盤がしっかりしてるということでしょうか。

・MacOS8、いいですね。快い使い心地というレベルに達したと言えるでしょう。Win95に負ける点もごく一部残っていますが、トータルでは相当リードしてると思います。なぜこれをもっと早く出せなかったのか。

 (ちなみに、ぼくのデスクトップピクチャは、自分で撮ったヴェネツィアの大運河です。)

 


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