MPV 97/9/24


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"Lost World/Jurassic Park"

CGには恐れ入った。が、

ハリウッドの大作娯楽映画としては珍しく(もないのかな?)、山場の作り方を間違えたんじゃないだろうか。

前半のハラハラを越えるものがとうとう最後まで出てこない。

ラストへの流れの作り方が失敗。島を離れる所で見る側の気持ちは一旦"END"に傾き、なんだか半端な終わり方だなあと思っているうちに、もう一波乱。これは定石だろうが、この最後の波乱が大したことないのだ。

(見てない人ごめんなさい。そんなにおすすめしないので。)

映画製作で何が重要かを知るにはいい映画。

 

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佐藤孝行総務庁長官辞任問題

結局辞めてしまったが、ぼくは天の邪鬼なので、今回の辞任ないし罷免要求はおかしいと思った。(あまり大きな声で言うと、世の中全体から村八分にされそうだが。)

佐藤氏が立派な人物だと言いたいわけではない。彼のことは何も知らない。

ただ、収賄の前科がある者は大臣になるべきでない、特に行革担当になるべきでない、という論理に合点がいかない。他の社会的価値基準と矛盾していると考える。

今回、声が大きかったのは、次のような論理だろう。

命題A:悪い人は大臣になってはいけない。

命題B:収賄は、信頼性という行政の根幹を揺るがす犯罪であり、許すべからざる悪いことである。

命題C:佐藤氏は収賄で有罪が確定した。

命題D:B、Cにより、佐藤氏は悪い人である。

命題E:D、Aにより、佐藤氏は大臣になってはいけない。

A、B、Cに異論はない。

問題はD。今回の騒動は、この命題についての考え方の相違に帰着する。

大衆的感覚では、「悪いことをした人」は「怪しい人」、「また悪いことをしそうな人」であり、即ち「悪い人」である。(ぼくも、この大衆的感覚を共有している。10年後、酒鬼薔薇君が近所に住むと言われたら恐怖を覚えるだろう。)

しかし、法制度上は、「悪いことをした人」は刑期ないし執行猶予期間を終えれば「悪い人」ではない。それゆえに更生保護制度があり法務省の関係組織がある。

法の前提である公式(たてまえ)の倫理も当然同様である。罪は恨むが人を恨まないこと、社会に温かく迎え入れ立ち直りを支えることを善とする。

国務大臣の任命は行政の世界での行為であり、行政は法制度、公式倫理によってたつべき世界である。

今回の任命行為は、公式倫理上は何ら問題がない。

国務大臣としての能力がないというなら問題になる。だがそれは大臣としての仕事を見てからの話である。

大衆的感覚はしばしば法制度、公式倫理と矛盾する。大衆的感覚で全てを律していては世の中はもたないことを長い間に学んだ人類が作り上げたのが法制度であり公式倫理なのだから、当然の矛盾である。

政治はその間にある。大衆的感覚と公式倫理のバランスを図るのが政治家である。今回は大衆的感覚に偏りすぎたとぼくは思う。公式倫理への言及が殆どなされていない。(ジャーナリズムにも問題がある。)

収賄したことのある者を大臣にしないことによってどういう社会的利益があるか、という議論もされていない。野心ある政治家・官僚に常に身を律しさせ、将来の犯罪を抑止する効果?あまりないだろう。ばれないようにうまくやろうと思うだけだ。実際、きわどく塀のこちら側に落ちた人がノーベル賞をもらったり大勲位になったりしてるのだから。

一般に、悪事を働いてから制裁を受けるまでの時間が長すぎると、その制裁による悪事の抑止効果は小さい。その意味では、政治家に対しては被選挙権の剥奪が一番効くだろう(憲法上可能かは分かりません)。そうしなくても、選挙民が投票しなければすむ話なのだが、本来。

大臣は特別扱いにするという考え方は、検討に値する。

例えば、悪事を働く可能性を極小化するため、犯歴のある者は大臣になれないと法で定めるとか。

(しかし、収賄の再犯率は低いのじゃないだろうか。起訴・有罪という基準で見れば。2度も捕まるようなやつは議員にはなれないのでは。)

実際の収賄行為は世にあまたあることを大衆はよく知っている。大衆の一部は贈る側でさえある。

大臣は完璧に清廉潔白でなければならぬと考えるなら、基準は起訴・有罪という法的形式だけでは足りない。疑わしい人は全部排除するくらいでなければならない。(なれる人がいなくなっちゃうか。)

一方で法的形式を基準としながら、他方で法制度、公式倫理を無視する。これも矛盾。

結局の所、じり貧の社民党を含めた各政党が、大衆感覚にのって自民党に揺さぶりをかけた政治劇なのではないか。

(それにしても大勲位は何を考えたのでしょうかね。ぼけたか?いや、実は大変な深読みで、橋本崩し、保保巻き返しを図ったんじゃないか、なんて。)

 

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無料でメールアドレスを取得する法

生意気にも、子どもが自分のアドレスがほしいと言ってきかないのです。

私のはいっているプロバイダー(官製に近い)にfamily accountとして安くはいれるサービスがあるか聞いたところ、通常契約と同料金(年間28,000円)だという。

とんでもない、メールだけのためにそんなに払えるわけない。

で、試しに「無料の電子メールサービス」をYahoo Japanで検索してみたら、ありがたいことに、そういうサービスを調べてリストを作ってくれてる人がいるのですね、世の中には。

http://members.tripod.com/~youki/mail.htm

色々試してみました。

この手のサービスはやっぱりアメリカが発達しているようです。仕組みとしては、WWW上に、登録した個人のメール受発信専用ページを作ってしまうわけ。付帯サービスは豊富だし、レスポンスは概ね速く、デザインもいい。

But、致命的問題、日本語が化けてしまう(ブラウザのフォント設定の問題ではないと思います)。

日本のサービス。

まず、interQというのが目につきましたが、これはダイアルQ2経由でinterQに接続する場合にのみメールが使えるというもの。面倒。どこのプロバイダとも契約していない人用でしょう。

次に、dddd.ne.jpのRobot Mail。実はぼくも前から利用しています。仕組みはアメリカのメールサービスと同じ。ただし、メールアカウントを持っていないと登録できない。パスワードをメールで貰うだけだから人のを借りてもいいのですが、ゼロからでないのがスマートでない。

というわけで、ちょっと考えまして、次の手に決めました。

まず、アメリカのサービス(hotmail.comにしました)でaddressを取得。

次に、このaddressを使って、Robot Mailに登録。xxx@hotmail.comに送られてくるパスワードはアルファベットと数字だけなので化けない。

以上、思ったより手間取りましたが、無料アドレス取得の顛末でした。

 


< 発行人ノート >

・発行間隔の短縮を優先したため、今回は記事3本のみになりました。

・それにしても、世の中次から次へと事件が起きるものです。ダイアナ関連も書きたいことはあるのですが、またの機会に。


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