アリとヒトとの関わり

食べ物として
アリは食べられます。全ての種類ではないですが。

日本ではほとんど食されていませんが、たとえば、オーストリアではアルプス高山地方でアカヤマアリなどをパンの上でひねりつぶしてその汁をパンの中にしみこませ、それからアリの体を取り除いて食べるそうです。スウェーデンでは焼酎の改良、つまりアリとライ麦を一緒に蒸留し、味をよくしているそうです。また、インドのムーリー族がツムギアリの幼虫、蛹、成虫を常食にしていて、専門のアリ取り職人もいるそうです。市場でも売っているみたいですし。アマゾン流域ではハキリアリを炒めて食べたり、女王やオスの腹部をプチッとちぎって食べるそうです。オーストラリアのアボリジニはミツツボアリの貯蜜ワーカーを取ってきておやつとして食べているし、こうしてみると全世界的にアリは食料として利用されていますね。ちなみにこれらの情報は全て三橋淳著「世界の食用昆虫」古今書院から引用させていただきました。

いや、しかしこうしてみるとヒトはアリけっこう食べているじゃあないですか!いいですねえ。ぼくもミツツボアリの貯蜜ワーカーは食べてみたいです。

害虫として
アフリカにいるグンタイアリやアメリカのファイヤーアント、そして中南米のハキリアリは非常に恐ろしい害虫です。グンタイアリは人を襲うし、ハキリアリは農作物を荒らします。

しかし、それ以外のアリたちは、どちらかというと無害な存在ではないでしょうか?まあ、家の中に入ってくるイエヒメアリとか、アルゼンチンアリなんかは不快な存在ですし、夏の夕方から深夜にかけて街灯とか家の明かりにたかるクシケアリなんかの女王、オスアリなどもちょっと見はぞっとするかもしれません。でも、ダニみたいに寄生虫を媒介するわけでもないし、スズメハチみたいに極端に攻撃性のある種類もそんなにいないし、まあかといってミツバチのように益虫でもないし・・・、そういうヒトいますねえ。書いていてそう思いましたが、まあいいでしょう。

巨大なコロニーを作るアリや攻撃性がやたらに強いアリを除くと、アリはそれほど悪質な害虫ではありません。しかし、どこにでもいる、集団で生活する、などの特徴からいわゆる「不快昆虫」として扱われることが多いですね。基本的に、生き物(ヒトのみならず)というのは生活圏を他の生物に侵されるのを大変嫌います。

でも、生活の全ての場面においてバランスというものが非常に大事です。いくら、アリがイヤだからと行って、人間にも悪影響を及ぼすような強力な殺虫剤をまくのは行き過ぎでしょう。そこらへんは、昔ながらの知恵があるわけだから、そういう方法で自分たちの生活圏を守るのが妥当だと思います。



関連ホームページ

三橋淳さんへのインタビュー

アリの世界に戻る